FXで節税する6つの方法と海外口座で取引する際の税金対策
2018/11/01
FXで利益が出た際には、確定申告と納税が必要です。
税金は対策をすることで節税でき、より有利にFXを行えます。
この記事ではFXの節税について記載しておりますので、参考にしてください。
FXと確定申告について
FXで利益を得た場合、当然に課税対象となります。
その際には確定申告が必要ですが、利益を得た全ての方が申告しなければいけない訳ではありません。
会社員の方の確定申告
会社員の方は、給与所得とFXの所得の金額によって申告が必要かどうか決まります。
サラリーマンの方がFX取引をしている場合、給与所得が2,000万円以下で、FXの所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。
専業主婦の方の確定申告
専業主婦(被扶養者)の方は、FXの所得の金額によって申告が必要かどうか決まります。
専業主婦(被扶養者)の方がFX取引をしている場合、年間の所得金額の合計が38万円以下であれば確定申告は不要です。
FXで節税する方法
FXで税負担を減らすためには、税金対策が重要です。
FXで節税をする方法は幾つもあり、実践することで大きく納税額が減少する可能性もあります。
経費を計上する方法
FXには、幾つもの費用があります。
その中には申告をすることで経費となるものがあり、「FXの確定申告時に経費とできる費用と申告する際の注意点」の記事にまとめております。
確定申告をする際には、必要経費を忘れずに申告してください。
ふるさと納税を利用する方法
FXの利益でふるさと納税を行え、寄附することで節税に繋がります。
ふるさと納税を行いますと地域に貢献でき、更に寄附金に応じて税金が控除され、返礼品を受け取れます。
実質的な自己負担金額は「2,000円」です。
ふるさと納税、控除額、控除限度額につきましては、お手数をお掛け致しますが「FXの利益でふるさと納税する際の控除額の計算方法と会社にばれないようにする方法」の記事をご覧ください。
夫婦で口座を開設する方法
FXで取引をする際には、所得に注意が必要です。
会社員(給与所得)の方は「20万円」、専業主婦(被扶養者)の方は「38万円」を超えた場合に確定申告が必要になります。
上記の金額以内に所得を抑える場合には、ご夫婦で口座開設を行い、利益を分散してトレードする方法が効果的です。
例えば、FX所得が30万円ある場合、会社員の方は確定申告が必要です。
ご夫婦で口座を開設し、それぞれで上手くFXトレードを行えば、利益が分散して確定申告が不要となります。
損失の繰越控除を活用する方法
FXでは損失が生じることもあります。
FXで生じた損失は繰越控除を行え、個人では「3年」、法人では「9年」損失を繰り越せます。
両建てをして対策をする方法
FXでは売りポジションと買いポジションを同時に建てることを「両建て」といいます。
両建てを上手く活用すれば、節税対策をすることができます。
お手数をお掛け致しますが、詳しくは「FXの手法である両建てとは?メリットから節税まで徹底解説」の記事にあります「両建てを活用した節税方法」の項目をご覧ください。
法人化や事業化する方法
FXは法人や個人事業主として行えます。
FXは法人化や事業化することで、節税に繋がる可能性があります。
法人を設立したり、個人事業主となったりすることで、まず経費の範囲が広がります。
下記などが経費として認められやすくなります。
- 事務所の費用(賃貸料など)
- 役員報酬(法人)
- 社員に支払う給料や退職金(法人)
- 保険料
- 税理士の方などに支払う料金
法人と個人事業主の車の代金
個人の場合では、車などを経費に計上することはできません。
法人や個人事業主では、車の購入代金も経費とできる可能性があります。
経費と車の購入代金
FXではかかった費用を経費にできます。
法人や個人事業主は個人よりも経費にできる費用が増え、車なども計上をできる可能性があります。
ここで重要となるのが、FXで利益を出すために必要な費用(ご自身がセミナーをしており、その移動手段など)であるかという点です。
税務署から認められなければ経費となりませんので、領収書を準備し、説明を求められた際にはきちんと話せるようにしなくてはいけません。
事業以外でも利用をしているのであれば、利用割合も重要となります。
車の耐用年数と償却方法
車を経費として計上する場合、10万円を超えるものは「減価償却」が必要です。
(お手数をお掛け致しますが、購入価格と減価償却につきましては「FXの確定申告時に経費とできる費用と申告する際の注意点」の記事にあります「パソコン代やタブレット代などの費用」の項目をご覧ください)
減価償却では、法定耐用年数に基づいて少しずつ購入代金を経費に計上していきます。
原則として法人は「定率法」、個人事業主は「定額法」で償却をしていきます。
- 耐用年数
- 減却資産には利用に耐える年数が定められており、これを耐用年数といいます。
- 減価償却をする際の計算期間であり、償却率も耐用年数によって異なります。
- 新車は国税庁のホームページの「耐用年数(車両・運搬具/工具)」にて確認できます。
- (普通自動車は6年、軽自動車は4年となります)
- 中古車は上記ではなく、下記で計算した耐用年数となります。
- 計算して1年未満の端数があればそれを切り捨て(「3年6ヶ月→3年」)、2年未満の場合は2年(「1年3ヶ月→2年」)が耐用年数となります。
-
- 耐用年数が全て経過している車
- その車が新車である場合の耐用年数 × 20%
- 耐用年数の一部が経過している車
- (その車が新車である場合の耐用年数 – 経過年数) + (経過年数 × 20%)
- 中古の場合は耐用年数が少ないため、少ない年数で全額経費にできるというメリットがあります。
- 定率法
- 減価償却の償却方法の1つで、毎年一定の率で減価償却費を計上していきます。
- 償却費 = 前期末の帳簿価額(取得価額 – 減価償却費の累計) × 定率法の償却率
- 定額法
- 減価償却の償却方法の1つで、毎年一定の額で減価償却費を計上していきます。
- 償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率
減価償却の例
今回に計算する条件につきましては、下記のようになります。
上記の条件では、償却例は下記のようになります。
(便宜上、1年間事業に使用していたと仮定して計算しております)
- 法人の減価償却費(定率法)
- (計算で1円未満の端数が出た場合は、切り上げております)
- 上記のように償却していき、年数が経つごとに減価償却費が減少していきます。
- 個人事業主の減価償却費(定額法)
- 上記のように償却していき、最後の年以外の年の償却費が同額になります。
耐用年数が6年以外の場合は、下記の償却率で減価償却を行います。
法人や個人事業主の注意点
FXでは法人設立や個人事業主となったほうが節税できるといわれます。
確かに経費が増えて所得控除もあるため節税に効果があるのですが、注意が必要な点もあります。
法人と個人事業主の税率
法人や個人事業主となった場合、個人の時とは納税方法が異なります。
個人の場合、FXの所得は申告分離課税であり、税率は所得税・住民税・復興特別所得税を含めて「20.315%」です。
法人や個人事業主の場合、所得の額によっては個人よりも税率が高くなる可能性があります。
法人は法人税・法人住民税・法人事業税を納める必要があります。
上記の税金は低い税率が適用された場合でも、合計で「20.315%」の税率を下回ることはありません。
個人事業主は、所得税・住民税・事業税などを納める必要があります。
事業所得として申告をした場合、FXの所得は総合課税となります。
総合課税は所得の金額によって所得税の税率が上がります。
(平成27年分以降)
上記を踏まえ、税率についてよくお考えになってから事業化や法人化を行ってください。
節税と金融機関からの融資
FXの税金対策は重要ですが、あまりにも対策し過ぎるのも問題です。
あまりにも税金に対して対策をし過ぎますと、金融機関から融資を受け辛くなるというデメリットがあります。
事業を行っていれば、運営をする上で運転資金(事業などをするために必要な資金)などが不足し、金融機関から融資を受けたい場合もあります。
金融機関は融資の際に、「財務数値」などを重視して審査を行います。
節税対策を行って著しく利益が減少しますと、評価が悪くなり審査に通り辛くなる可能性があります。
海外FXの節税対策
FX取引をする際には、海外のFX会社で口座を開設する場合があります。
海外の口座でFXをする際にも、節税を行えます。
経費とECN口座を利用して節税
海外FXでは、下記なども経費と認められる可能性があります。
(必ず領収証を保管し、説明ができるようにしましょう)
- 海外FX会社のある国へ旅行に行った費用
- 海外FXのために学んだ語学費用
- 海外への送金手数料
また、海外FXには「STP口座」と「ECN口座」があります。
「STP口座」は平均スプレッドが高い分、取引手数料がかかりません。
「ECN口座」は平均スプレッドが安い分、取引手数料がかかります。
海外FXの場合、「ECN口座」のほうが節税に効果があります。
取引手数料がかかっても経費に計上でき、更にスプレッドが狭くなりますので、トレードする際にメリットが大きいです。
海外のFXも法人を設立して節税
海外のFXの場合も、法人を設立することで節税に繋がります。
個人が海外FX口座でトレードしますと、雑所得の総合課税になります。
「法人と個人事業主の税率」の項目でも記載しておりますが、総合課税では所得税の税率が所得によって変わります。
これでは所得が増えれば税負担が増えてしまいます。
法人として海外のFX口座で取引しますと、年間所得800万円以下では法人税率「19%」、年間所得800万円年超では法人税率「23.2%」となります。
上記は資本金1億円以下の場合の平成30年4月1日以後開始事業年度の法人税の税率ですが、多額の所得がある際には総合課税の所得税率よりも法人税率のほうが低いです。
不動産所得と損益通算して節税
個人が海外FXで得た利益は、雑所得に分類され、総合課税となります。
総合課税は累進課税で所得によって税率が上がります。
しかし、雑所得は全部で9種類あり、損益通算ができますので、上手く活用することで節税に繋がります。
雑所得は下記の所得が該当します。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
上記の中でも、不動産所得を利用して節税する方法についてご説明致します。
不動産所得は土地や建物などの不動産を他の方に貸した際に得られる賃料などです。
建物は減価償却資産であり、毎年経費に償却費を計上できます。
これを利用して、FXの所得との損益通算を行います。
主な手順としては、下記のようになります。
- 不動産投資用の建物と土地を購入する
- 建物3,000万円(木造住宅で築年数は23年)、土地2,000万円の中古不動産が見つかり、この不動産を購入します。
- 建物の法定耐用年数を計算する
- 購入したのは築年数が「23年」の木造住宅であり、新築の場合の法定耐用年数は「22年」です。
- この場合は、中古の建物の築年数が法定耐用年数を過ぎておりますので、「新築の場合の法定耐用年数 × 20%」で計算した年数を法定耐用年数とします。
- 「22年 × 20% = 4.4年」となり、端数を切り捨てて耐用年数は「4年」となります。
- 建物の減価償却費を計算する
- 建物は減価償却資産(土地は減価償却しません)であり、毎年経費に償却費を計上できます。
- 建物の法定耐用年数は「4年」であり、定額法の償却率は「0.250」です。
- この建物の減価償却は、下記のように行います。
- 不動産の賃料と経費を差し引きする
- 不動産所得は、収入から経費を差し引いた金額が課税対象です。
- 1年目の不動産の賃料による収入が「500万円」であれば、「500万円 – 750万円 = -250万円」となります。
- 「-250万円」はFX所得と損益通算できます。
上記のように、減価償却費を考慮してわざと赤字を出し、FXの所得と損益通算を行います。
中古の建物は耐用年数が少なくなりますので、新築よりも少ない年数で減価償却できます。
節税目的で不動産投資を行うのであれば、不動産の築年数や取得価額(建物が高く土地が安い)などをよくご検討ください。
まとめ
FXの税負担を減らすには、下記の税金対策が有効です。
- 経費を計上する
- ふるさと納税を利用する
- 夫婦で口座を分ける
- 損失の繰越控除をする
- 両建てを活用する
- 事業化や法人化する
海外FXでも節税はできますので、納める税額が多額である場合などは、特に対策が必要になります。